らもすいずむのフットボールログ。

多角的な観点でフットボールを読み解きます。時には戦術論、トレーニング論、マーケット論。常に本気でフットボールを思考する。

日本サッカーの守備とは?〜総括として〜

 

 さてさて、お久しぶりの更新になります。自分のTwitterをフォローしくれている方はご存知だと思いますが、冬眠なんてしていません。リーガはもちろん、プレミアの試合きちんと見ていましたよ。笑

 

 そんな感じで今日は緩く始めたいと思います。さて、書くことがない訳でもないんですが知り合いのサッカーが好きな人に言われたことなんですが、アギーレが守備に重きを置いてチームを作っても日本のCBやGKは非常に平凡なミスで失点する、と。だから、アギーレのサッカーには期待していないと。

 

 個人的なお答えをさせて頂くと、それは一概には言えません。ポルトを指揮していたモウリーニョのように堅いブロックを敷こうと思えば敷けます。ですが、日本人には基本的な技術が備わっていないということになります。

 

 ってことで、今回は『日本人の守備技術と現状』ってことでお届けしますね。

 

 

【日本代表の守備】

 日本代表の守備のミスということを考えると、誰しもがW杯の出来事を思い浮かべると思う。かく言う、自分も同じである。

 

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キャプの画像は、ブラジルW杯のコロンビア戦のCBの今野スライディングでPKを献上したシーンになる。結果的に日本は、コロンビア相手に力の差を見せつけられてグループリーグ敗退が決まるという悪夢のような結果になってしまったのであった。

 

サムライJAPANの軌跡(4)/コロンビアに突きつけられた「差」。日本×コロンビア | らもすいずむ | スポーツナビ+

(マッチレビューを読みたい方はこちらからどうぞ)

 

 反省ということでもないが、今日は守備の鉄則、俗に言う所のセオリーから日本のサッカーの育成システムの不完全な部分に対して触れてみたいと思う。

 

 

 最初に引用から、これはバルサで14年間も下部組織の育成に携わって来たボレル氏のインタビューから。

 

「一方で戦術面、守備の部分で改善の余地があるのではないかという印象を受けました。とくに、「チームとしてどうボールを奪うか」という組織の部分です。U12の年代では技術面が大切ですが、戦術の練習はしなくてもいいのではなく、そのバランスが重要です。私の考えでは、テクニックがついて来た頃に、戦術的な要素をトレーニングの中に導入していくことが大切なのではないかと思います」

 

「守備の戦術に関して言うと、ボールがグラウンドのどこにあるかによって、守備の仕方は変わります。ここで、私が考えるサッカーの4つの大切なことについて、説明させてください。

1はチームのスタイル。2はチームのシステム。3はロジカルにボールを動かしていけるかどうか。具体的には、マイボールにし、攻撃に移るときのビルドアップの方法です。4は相手チームがボールを持っている時に、どう動いてボールを奪うか。具体的には、相手チームがボールを持っているときに、どう動けば自分たちが狙っているところにパスをさせることができるか、です。

 

◆1:チームのスタイル

◆2:チームのシステム

◆3:ビルドアップの方法

◆4:ボールの奪い方

 

おそらく、1と2はどの指導者も持っていることでしょう。3に関しても、半数の指導者は自分なりの考えがあると思います。しかし、4の「相手チームがボールを持っている時に、どう動いてボールを奪うか」については、考えとして持っている指導者はあまり多くないと感じています。これは簡単なことではありません。知識があったとしても、実行する能力がなければできないからです」

 

 

 

 

 以上が引用文だが、やんわりと日本の守備文化に対して批判的な内容で答えているのが分かる。日本という土地には、守備を大切にする文化がない。それ故に、乱雑な守備の仕方しか身に付いていないということが挙げられている。

 

 日本代表や元日本代表の吉田、今野、森重、中澤、闘莉王などがその筆頭候補に当たるのだが、日本の多くの選手で何かしらの弱点を抱えたままプロになってそのような選手たちがJリーガーとして日本代表に選出され、日の丸を背負う代表選手がビッグマッチなどで大きな失態を晒す。このような事態は今まで、日本代表サッカーを見ている方なら暗黙の了解であろう。

 

 前監督のザッケローニは、守備面に関しては純粋な守備能力ではなくビルドアップ、ボレル氏のインタビューで言えば3の項目を優先してきた節がある。その結果がW杯である、格下相手のアジアカップやW杯最終予選ではこの問題は露呈しないが強豪国、とりわけコンフェデ杯などでは日本は結果という結果を出せなかった。

 

 確かに日本の攻撃面や技術に関しては、飛躍的に進歩している。だがそこには、守備という概念が据え置かれている気がするのである。香川の守備貢献度であったり、連動したプレッシングが見られなかったりと守備を軽視する現状の育成に対して自分は少なからずの疑問点を抱えているのである。

 

【解決策は?】

最後にボレル氏はこのようなコメントでインタビューを締めくくっている。

 

「トレーニングメソッドだけが重要なわけではありませんが、日本人の特徴を活かして、守備の規律正しさを選手たちが身に付けるための、良い教え方、トレーニングメソッドをみつけることが大切だと思います。日本人は勤勉で規律正しい国民です。日本人であれば、彼らに合ったやり方を見つけることができるのではないかと思います」

 

 日本人であれば、彼らに合ったやり方を見つけることができる、とではそれは誰が見つけるのか?実際に指導者として、コーチとしてピッチレベルに立っている指導者にそれは叶わないだろう。だからこそ、ユース年代での育成という要素が10年後、20年後の日本代表を僅かでも変えられる一番の近道なのかもしれない。

 

 

 

【つぶやき】

 批判的な記事になってしまいましたが、世界でそのセオリーに乗っ取って守備を行なえているチームも早々ないし完全無欠なDFも限られている。実際にスペイン代表のセルヒオ・ラモスジェラール・ピケのコンビでさえもコンビネーションという部分で醜態を晒した。守備は1人で行なうものでもないが、クラブレベルの話になればコンビネーションや鉄則という部分は当たり前の話だが代表レベルの話ではその部分には及ばないだろう。しかしながら、ブラジルW杯のブラジル代表のCB2人は良い意味でお互いを補完し合えていただろう、マークとアタックに出るダビド・ルイスカバーリングで支えるチアゴ・シウバと。

 

そのような優れた関係性を築くことが出来れば、代表チームとして一皮剝けるのではないだろうか。

 

W杯マッチレビュー一覧

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注釈*以下より引用掲載


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